2022/03/29

【対談記事】「NPO法人バーチャルライツ」その活動に迫る

VR文化を守るため、精力的に活動しているNPO法人がある。

2021年10月17日、この法人の「第1回通常社員総会」がVR/メタバースプラットフォーム「NeosVR」で開催された。

なぜVR上で社員総会を開催しようと思ったのだろう?
今回は「NPO法人バーチャルライツ」の「SUKANEKI」さんに、インタビューを行った。

――インタビューにご協力いただきありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

SUKANEKI:
よろしくお願いします。

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「日本全国に会員がいて、VR文化を生きている」

――社員総会を完全VRで行ったことを拝見いたしました。先駆的な取り組みだけに、実現に至るまで、いろいろと大変なこともあったかと思います。これをやり遂げるとお考えになった背景や思いをお聞かせ願えますか。

SUKANEKI:
もともと、バーチャルライツでは、設立時の総会をVRChat上で行っています。このときは、VRChat上で話してはいましたが、サインはVR上では行わないというものでした。これを一歩進めて、書類作成も含めて、VR上でできないかと思ったのがきっかけです。
設立のときVRChatでやったのは、日本全国に会員がいて、会員の皆さまはVR文化を生きている人たちだったので、顔を出してやるのはちょっとそぐわないと考えていたからですね。

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――実施にあたっては、所轄庁である千葉県庁に事前に確認をとっていらっしゃるとのことです。特にハードルになった点や条件等がありましたら、お知らせいただけますか。

SUKANEKI:
NPO法人は株式会社よりも縛りが少し緩いので、調べてみてこれはいけるのではと思っていました。
千葉県庁からは、事前にサインをする人が明らかであること、書類から本人が推定できることが求められていました。匿名のよくわからない人を捕まえてきてサインしてもらってもダメということです。
この時間に、このVRで、この名前の人にサインしてもらいますということを事前に決めておいて、そのとおりにサインしました。

――リアルでサインする場合だと、「この時間に、ここで、この人が」とまではやらないと思うので、少し過剰な感じもします。保守的に考えても有効といえるラインを探ってもらった感じでしょうか。

SUKANEKI:
千葉県庁に確認したとき、回答まで1週間程度かかりました。普段はそんなにかからずに答えてくれる印象なので、上の人まで確認して、慎重に判断してもらったのだと思います。
その意味でも、千葉県庁の方にはご協力いただいたと思います。

――会場は「NeosVR」をご選択されていますね。

SUKANEKI:
技術的な自由度が決め手でした。設立時はVRChatを使っていたのですが、画像の出力が一番しやすかったのがNeosVRだったので、こちらに変えています。
議事録はwordで作ったものを画像にしておいて、サインする時には、筆跡を画像に焼き付けるようにして出力しました。

――完全VRでやってみて、反響はいかがでしたか。

SUKANEKI:
好意的な反応がかなりありました。
Twitterに投稿したところ、2000リツイート・4000いいね程の反応をいただくことができました。
また、何かと話題の「メタバース」との語とも関連して、司法書士の業界でも話題になったそうです。若手の司法書士の勉強会でも取り上げられたと聞いています。

ロマンのある演出

――社員総会の様子を動画で拝見しました。VR空間上で、議事録がプリンターから出てくる演出が面白いなと思ったのですが、何かこだわりがあったのでしょうか。

SUKANEKI:
あれはロマンですね。オレンジさん(@mikan3134)に作ってもらったのですが、かなりこだわって作ってくれました。

――実際に、バーチャルライツでは、他の会議もNeosVRでやられているのですか。

SUKANEKI:
社員総会をNeosVRでやったのはパフォーマンスという面もあって。メンバーがほとんどVRChatの住民なのと、慣れの問題もあるので、普段はNeosVRでの会議はあまりありません。
キーボードはVRだと流石に使いにくいというところもあります。

――やはり作業が要求されてくると少し難しいと。

SUKANEKI:
そうですね。まだまだ難しいのかなというのが、正直なところです。
キーボードやマウスが使いにくくて。デスクトップの文字入力や右クリックはやっぱり使いやすいので。

「信頼をもってもらうためにNPO法人にした」

――もともと「バーチャルライツ」設立のきっかけはどのようなものだったのでしょう

SUKANEKI:
純粋にVRが好きで、VRの文化を守るために作りたいと思いました。
作ろうと思ったのは、私がVRをはじめて4か月くらい経った頃です。VRのアバターは女性アバターが多いのですが、そのやり取りを人身売買だと言う声に触れて。
流石に人身売買ではないという感覚が大多数だとは思いますが、影響力のある人がそういうことを言い始めると、文化が破壊されてしまうという危機感がありました。
だったら、ちゃんとした団体を作って、「VR文化を守る」ということをきちんと発信していこうと思いました。

――最初はどのくらいの人数でしたか

SUKANEKI:
NPO法人の設立に10人必要なので、正会員は10人でした。それに加えて、discordに20人くらい集まってくれました。
半分くらいは高校の友達で、あとはネット上で募集して集まってくださった方々です。

――けっこう集まったのですね

SUKANEKI:
そうですね。
これからVRをプレイする人数が増え、「ユーザーやクリエイターに理解のない声によって息苦しくなっていくのでは」という懸念が共感されたのだと思います。

――会社にするという選択肢もあったように思いますが、NPO法人を選ばれたのはどういう理由からだったのですか

SUKANEKI:
あくまで文化のために活動するので、「私自身の懐にお金を入れるためではありませんよ」ということを信頼して欲しかったという理由です。
NPO法人だと、制度上の縛りがあるので、自分の懐に入れるために活動しているのではないという信頼は得やすいと思いました。

これからの活動について

――これからの活動としてやっていきたいことはありますか

SUKANEKI:
営利企業が時間をかけてやらないようなことをやっていきたいと思っています。
今回の件も、話題にはなりますがお金にはなりません。にもかかわらず、実行するためには、行政に照会し、その回答を待つなど、営利企業からすると面倒と思われるようなステップが必要でした。こういう営利企業だと採算との関係でちょっとやりにくいところでも、VRの新しい可能性を示していきたいと思っています。
もちろん、バーチャルライツのスタンスとして、個人クリエイターの権利を守るという点は変わりません。

――いまの会員数はどのくらいになっているのでしょう

SUKANEKI:
VR会員を含めると600人くらいがdiscordにいます。

――人数が増えてくると、一枚岩でなくなって大変なこともありそうですね

SUKANEKI:
そうですね。「美しいVRを作るためにもっと規制が必要」というような見解を持つ人もいて、バーチャルライツのスタンスとはちょっと合ってないんじゃないかな、と思うこともあります。
「規制が必要」というのも、理屈や理想論として分かるところもあるのですが、私としては「VR文化を守る」というポジションから発言する団体が必要だと思っていて、うちが主張のラインを下げてしまうと、結果的にもっともっと厳しい規制になってしまうのではと思うので。
ただ、積極的に会員の意思統一をしようというスタンスでもないので、人数が増えてくると運営が大変という面はあるかもしれません。

――他に課題に感じていることはありますか

SUKANEKI:
赤字なのが課題ですね。このままだと続かないかもと思うこともあります。
現在、活動費は8割が寄付、2割が自分で工面して回しているのですが、今後はイベント開催等も行って、活動基盤を安定させていきたいですね。

――今日はどうもありがとうございました

SUKANEKI:ありがとうございました。

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NPO法人バーチャルライツの代表「SUKANEKI」さんにインタビューに応じていただいた。「VR文化を守る」という点において、多数の実績があり、会員数も大きく増えている。もっとも、「活動費」という現実的な制約もあるようだ。

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