ら抜き言葉とさ入れ言葉~時代とともに移ろうかもしれない表現~

2021/04/16

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テレビを見ていると、出演者の発言と字幕の言葉とのずれに気が付くことがあるかもしれません。その一例としては、「ら抜き言葉」が使用された場合が挙げられます。
この記事では、「ら抜き言葉」について分析し、また、「ら抜き言葉」と同様に問題とされつつある「さ入れ言葉」についてもご説明します。

ら抜き言葉とは何か

「ら抜き言葉」とは、「見る」、「着る」、「食べる」などの動詞において、可能を表す形として、本来の「見られる」、「着られる」、「食べられる」という形ではなく、「見れる」、「着れる」、「食べれる」のように、「ら」を抜いた形で使用することを指します。

ら抜き言葉の分析

「ら抜き言葉」では、以下のように、動詞の可能形のみが変化しています。

 可能・尊敬・受身の「食べられる」
 →可能の「食べれる」、尊敬・受身の「食べられる」

実は、これと同様に、可能・尊敬・受身のうち、可能形のみが変化するという言葉の変化は、過去にもあったものです。
例えば、以下のように、明治時代に「飲まれる」が「飲める」に変化した例があります。

 可能・尊敬・受身の「飲まれる」
 →可能の「飲める」、尊敬・受身の「飲まれる」

このように、現代の動詞の可能形をめぐる変化は、過去にも生じていた変化でした。

「ら抜き言葉」に関して、文化庁の「国語に関する世論調査」では、「食べられないと食べれないという表現のどちらを使用するか」という問いに対して、平成27年度の調査では、「食べられない」を使用する人は全体の約6割、「食べれない」を使用する人は全体の約3割であり、一定数「ら抜き言葉」を使用する人がいることが分かります。

また、平成22年度の同調査では、「『ら抜き言葉』を言葉の乱れだと思うか」という問いに対して、「そういう言い方をしても構わないと思う」や「乱れではなく言葉の変化だと思う」といった「ら抜き言葉」に対して肯定的な回答が、全体の約7割に及んでいます。

このように、「ら抜き言葉」は、必ずしも不適切なものではなく、時代に即した言葉の変化とも捉えられるものとなってきています。

さ入れ言葉とは何か

「さ入れ言葉」とは、「~ていただく」という謙譲表現や「~てください」という依頼表現に「さ」を入れる表現です。
例えば、「明日は休ませていただきます」という謙譲表現に、「さ」を入れて、「明日は休まさせていただきます」としたり、「頑張らせてください」という依頼表現に、「さ」を入れて、「頑張らさせてください。」としたりするものを指します。

このような「さ入れ言葉」は、文法上適切ではないものの、より丁寧なイメージを相手に与えることを狙って使用されるようになったものと考えられます。

「さ入れ言葉」は、現時点で適切とされる使い方ではありませんが、「ら抜き言葉」と同様、時代の流れによって受け入れられていくのか否か、慎重な検討が必要になってくるかもしれません。

まとめ

この記事では、問題として指摘されやすい「ら抜き言葉」や「さ入れ言葉」についてご説明しました。
「ら抜き言葉」は、言葉の使い方の変化と捉えている人も多いのが現状ですが、他方で、現時点では、正しい使い方ではないと捉えている人も一定割合存在しています。
現時点では、正しい使い方を知った上で、TPOに合わせて使用できることが重要と考えられます。

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