日本語の地域差~地域で違う「アホ」と「バカ」~

2021/03/13

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アホとバカのどちらが傷つきますか

みなさんは、友人がちょっと抜けた行為をしているときや、悪ふざけをしているとき、「あいつバカだな~」と「あいつアホだな~」のどちらを使用しますか?

関西出身の人が、東京に来た際に「バカ」と言われて傷付いたという話があるように、「アホ」主には近畿地方で使用され、「バカ」は主に関東地方を中心とした東日本や、西日本の中国・四国・九州地方でよく使用されます(上記の話は、関西でよく使われる「アホ」ではなく、「バカ」と言われたことで、フランクに受け止めることができなかった話として理解できます。)。
なお、「バカ」や「アホ」に似た表現として、東海地方では「タワケ」、北陸地方の一部では「ダラ」といった表現を使用することもあります。

方言の分布

一口に日本語といっても、地方によって地域差があり、これを方言とよんでいます。言葉の地域差が生まれた原因の1つとしては、「都」からの距離が挙げられます。

「都」は、経済、文化、行政の中心地であり、新しい思想や品物が次々と生み出されるのに伴って、新しい言葉も次々と生み出されていきました。古来に「都」が置かれていたのは近畿地方であり、現代のように交通網やマスメディアが発展していなかった時代においては、「都」から近い地域から徐々に言葉が広まっていったとされています。

「だよね」は何て言う?

「バカ」と「アホ」の使い分けと同じような例として、相槌である「だよね」の地域差もご紹介します。「だよね」は、地域によって様々な形に変化します。

【札幌】だべさー 【仙台】だっちゃねー 
【東京】だよね  【名古屋】だがねー
【大阪】そやなー 【広島】ほじゃねー
【博多】そーたい

この変化は、断定をあらわす「断定辞」の東西における地域差を反映したものであるといわれています。言葉における東西といった際の境界線は、およそ富山・新潟県境から、岐阜・長野県境、三重・愛知県境を走るといわれています。

「だ」→境界線よりおおむね東側
「じゃ」→境界線よりおおむね西側

なお、博多は、本来であれば、断定する表現として「じゃ」を用いる地域ですが、博多地域では若者の関西弁志向が強く、その志向を反映した表現となっています。
このように、言葉の地域差が生じる原因は、「都」との距離のほかにも、発音のしやすさや、その地域の文化的背景、人の流れといった様々な理由が複合的に重なり合っているものであるといえます。

さいごに

こちらの記事で紹介したもののほかに、民俗学者の柳田国男氏が示した「かたつむり」の呼び方の全国分布といった興味深い研究もあります。普段何気なく使用している方言ですが、そのルーツをたどると、言葉の歴史だけではなく、様々なものの歴史に触れることができる貴重な機会となることかもしれませんね。

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