「た」って何者?~様々な意味を持つ日本語の「た」~

2021/03/08

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私たちが使用している日本語文の末尾には、「た」が付くことが多いです。私たちは、自然とこの「た」を使い分けていますが、この記事では、どのような場合に「た」を用いているかを掘り下げてみていきたいと思います。

様々な種類の「た」を用いた文

①昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいまし
②頼んでいた資料は、もうでき
③あった!あった!探していたメガネはこんな所にあっ
④(レストランで)ご注文の品はこちらでよろしかっでしょうか。
⑤(コンビニで)お箸はよろしかっですか。

上記の5つの文章は、よく耳にするものばかりではないでしょうか。以下では、これらの文を用いながら、様々な「た」の使い方を説明していきたいと思います。

過去・完了を表す「た」

まず、①と②の文で用いられている「た」の使い分けについて説明できますか?
①は、現在を基準として、過去の出来事を述べるもので、過去を表す「た」です。
②は、現時点において、資料の作成という出来事が完了しているか否かに着目しているため、完了を表す「た」です。

この2つの「た」は、否定文を作り、「なかった」となるものは過去を表す「た」であり、「~ていない」となるものは完了を表す「た」であると見分けることができます。
①昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいまし
→おじいさんとおばあさんはいなかった。→過去を表す「た」
②頼んでいた資料は、もうでき
→まだできていない。→完了を表す「た」

このような「た」の使い分けは、古い時代には、過去形は「き・けり」、完了は「つ・ぬ・たり・り」と使い分けていましたが、現代においては同じ形を用いています。

認識した時点を表す「た」

③の「あった!あった!探していたメガネはこんな所にあっ。」では、メガネは目の前にあるのですから、ここで用いられている「た」は、過去を表す「た」でも完了を表す「た」でもありません。この「た」は、認識した時点を表す「た」として用いられています。
また、例えば、バス停で「バスが来た。」と言った場合も、バスが来たことを認識していることを示しているので、認識した時点を表す「た」となります。

確認を和らげるための「た」

では、④の文はどうでしょうか。
「(レストランで)ご注文の品はこちらでよろしかっでしょうか。」という文は、今現在の状態がよいかの確認をしている文であるため、「ご注文の品はこちらでよろしいですか。」という表現ぶりでもよさそうです。もっとも、「よろしいですか」という表現だと、いますぐ判断を迫るという印象をお客さんに与えかねないため、以前聞いたことを確認するという意味の「た」を用いて、より和らげた表現としています。
⑤の「(コンビニで)お箸はよろしかっですか。」という文の「た」も、④の文と同じ用いられ方をしており、「た」を用いた確認の方がより和らげられた印象を与えるため、「よろしかったですか」という表現が用いられています。

まとめ

普段何気なく使用している「た」を用いた表現も、少し掘り下げて考えてみると、様々な意味で用いられていることが分かります。この「た」は、時代の変化とともに、変遷を遂げている言葉でもあります。このような言葉の変化について今一度考えてみると面白い発見があるかもしれませんね。

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