条件を表す表現~「たら」と「なら」~

2021/03/01

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「飲んだら乗るな。飲むなら乗るな。」

この標語は、飲酒運転を禁止する標語として一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この標語の意味は、「お酒を飲んだ後は運転してはならないこと」と「お酒を飲む予定がある場合には、運転をしなくて済むように自動車に乗ってはいけないこと」という2つの意味を表しています。ここでは、「~たら」や「~なら」という条件を示す言葉を用いることによって左記の意味が表現されています。そこで、この記事では、日本語文において、条件を示す表現をどのように用いればよいのかを説明していきます。

出来事の順番で文章は決まる!?

(クリスマスでのひとこま)
①ケーキを買ったら、連絡してね。
②ケーキを買うなら、連絡してね。
①の文では、「ケーキを買った後に連絡して欲しい」という意味になります。一方、②の文では、「ケーキを買う前に連絡して欲しい」という意味に捉えることができます。「~たら」は、「後で」、「~なら」は前という意味と持つと整理することができそうです。

出来事の順番で決まらない場合もある!?

上記の例では出来事の順番で表現を使い分けていましたが、全ての例がこれで説明できるわけではありません。例えば、次の文書の意味を考えてみましょう。
③北海道に行ったら、ブーツを買った方がいいよ。
④北海道に行くなら、ブーツを買った方がいいよ。
③の文では、「北海道に行った後にブーツを買った方がいい」という意味になります。一方、④の文では、「北海道に行く前にブーツを買った方がいい」という意味とも、「北海道でブーツを買った方がよい」との意味とも捉えることができます。
このように、出来事の順番では、必ずしも「~たら」や「~なら」の使用方法が定まらない場合があります。代表的な例としては、次の文が挙げられます。
⑤質問があったら、手を挙げてください。
⑥質問があるなら、手を挙げてください。
⑤、⑥の文のどちらも、「~たら」と「~なら」を用いた文ですが、「今質問がある人は手を挙げてください」という同じ意味の文となります。出来事の順番によって、「~たら」を使うか「~なら」を使うかを使い分けていません。「~たら」や「~なら」が、「欲しい」や「ある」といった状態を表す述語に付いている場合には、このような使われ方となります。

文脈で判断することが重要

条件表現を含む「AするならB」という文章は、Aの前にBが起きることを意味する場合もあれば、Aの後でBが起きるという意味を表すことがあります。あくまで、「Aなら」は、Aという出来事が生じる仮定を置き、そのような仮定の下での話者の判断や考えを表します。どのような文意を読み取ることが適切かは、あくまで文脈によって判断されます。例えば、冒頭でご紹介した「飲んだら乗るな。飲むなら乗るな。」の標語における「飲むなら乗るな」は、「飲んだら乗るな」という言葉との対比という文脈によって「お酒を飲む予定がある場合には、運転をしなくて済むように自動車に乗るな」という意味に捉えられているといえるでしょう。

さいごに

条件を表す表現は、日常的によく使用する表現です。「~なら」という言葉は、文脈によって持つ意味が変わってきますので、使用する際には正しく相手に意味が伝わっているか注意して使用していくとよいでしょう。

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