「愛さない」と「愛しない」正しいのは!?~サ行変格活用と五段活用~

2021/03/01

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皆さんは、文を書く際に、「愛さない」と「愛しない」、「要さない」と「要しない」、「解さない」と「解しない」のそれぞれいずれが正しいのか、迷ったことはありませんか。これらの動詞は、本来はサ行変格活用の動詞ですが、次第に五段活用の動詞として使われる例が現れたものです。以下、順にみていきましょう。

サ行変格活用の動詞

サ行変格活用とは、日本語の動詞の活用の型の一種であり、サ行変格活用の動詞としては、「する」という動詞や、名詞に「する」が付いた複合語があります。代表的な例としては、「愛する」や、「要する」、「解する」といった動詞が挙げられます。このほかにも、ややくだけたものでは、「青春する」や「科学する」といったものもあります。
これらサ行変格活用の動詞の語尾変化は、原則として「する」という動詞の語尾変化と同じであり、以下のようになります。
・未然形:し(-ない)、せ(ず)、さ(-れる)
・連用形:し
・終止形:する
・連体形:する
・仮定形:すれ
・命令形:しろ、せよ

五段活用とは

五段活用とは、日本語の動詞の活用の型の一種で、現代仮名遣いにおいて活用語尾が「アイウエオ」の五つの段すべてにわたって変化するものをいいます。五段活用の動詞の代表的なれいとしては、「書く」や、「読む」、「歩く」、「遊ぶ」といったものがあります。
これら五段活用の動詞の語尾変化は、「アイウエオ」の五つの段すべてにわたり、「書く」を例に挙げると以下のようになります。
・未然形:か(-ない)、こ(-う)
・連用形:き、い
・終止形:く
・連体形:く
・仮定形:け
・命令形:け

今のところの正しい書き方

冒頭に挙げた動詞は、本来、それぞれ「愛する」、「要する」、及び「解する」というサ行変格活用の動詞です。そのため、サ行変格活用の未然形に打ち消しの「ない」を付けて、それぞれ「愛しない」、「要しない」、及び「解しない」とするのが正しいということになります。
もっとも、現在においては、次第に五段活用の動詞である「愛す」などのように取り扱い、「愛さない」とすることも受け入れられつつあり、これが用法を迷わせる原因となっています。
今のところは、「愛さない」という用法を否定するものではないですが、「愛しない」とサ行変格活用の動詞として取り扱っておくのが、正しい書き方といえそうです。

最後に

言葉は時代と共に移り変わっていくものですので、移り変わりの過渡期にある用法に関しては、正しい使い方がわからなくなることもあると思います。そんなときには、本来どのような使われ方をしていて、その用法がどのように移り変わりつつあるのかを把握することで、自信を持って言葉を使えるようになると思います。この記事がその助けになれば幸いです。

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